秋雨男
udegeuneru
雨がしとしと降ればうれし
表に出ない為の言い訳ができるから
小学生の頃、スイミングスクールで俺は、泣きながら
「いきがくるしいのでやめたいです」
と言って本当に辞めてしまった
泣いていたのは、ちがう苦しさからだった
なかなか次の級に上がれないのが、もどかしかったのだ
思えばあのときから俺の精神はまったく成長していない
「アイデアが出ないので作れないです」
「足をひっぱるだけなのでゼミに行きたくないです」
「雨が降っているので外に出たくないです」
もう泣くことはない
空が代わりに泣いてくれるから、、、ということではなく
そういうところだけは大人のふりをしているのだ
感情を押し殺し、何か考えているふりをするのだ
母親に甘やかされて育ったのだ
これから先は許されぬだろうが
布団が俺を包んでくれる
働く奴はみな馬鹿で
自分が一番偉いと嘯き
傷も痛みもニセモノで
けれども未来は苦しげで
このまま部屋から出ずに一生を終えたいと思う
昼間には本を読み夜になれば酒を飲む
たまに散歩に出かけて
ふらふらと歩き
近くの川の土手で
夕日を見るのだろう
そしていつかは
しとしと降る雨に
流されて消えるのだろう