光、スロウ、アウェイ
nm6
どうにもやるせない自転車です。雨水の玉つぶてなサドルの革を「そうでもなく茶色だ」と言って、拭き取ればままよ、と走りました。光、スロウ、アウェイ。そして溶解するするりとした残像を肴に、ウィスキーに言い訳を注ぐのです。トト、と。鼓動と雨音とそれでも気になる何だこれとを、さあさあ、と、引き続きないまぜにしようとするのでした。窓ガラスを嘗めるように、それは夜。
見返るアルカイックはもういらないのです。スピーカーの鋭角から鳴る音がカラカラを追いかける設定にまるめこまれた世界に、光、スロウ、アウェイ。縦ノリで頷くぼくらは抜け道をくぐる術に、頭隠してほくそ笑んでいます。クスクスするために生きている毎日です。そして晴れ渡れば受け付けて、真っ青に圧倒されないように反復横飛びます。ああ、嘘を間違えてしまったこと。
風景は逃げていきますが、
風景は逃げていきますが、
風景は逃げていきますが、
風景は逃げていきますが、
風景は逃げていきますが、僕の机の上にある永続的なものと、瞬間的なものはペラリとした紙一重です。
何も持っていないので、よいのです。
どうにもやるせない自転車です。雨水の玉つぶてなサドルの革を「そうでもなく茶色だ」と言って走りました。光、スロウ、アウェイ。溶解するのは残像です。ウィスキーに言い訳ではなく、アマレットを注ぎます。今度こそ、トト、と。鼓動も雨音も気にならなくなってゆくように、受け付けた設定にまるめこまれた世界です。縦ノリで頷くぼくらがときに反復横飛べば、窓ガラスを嘗めるのは、月。光、スロウ、アウェイ。さあ、ただ丸くて白いだけか。
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