梯子
霜天

上手く選べないことは分かっているので
国道へと続く道の折れ方を
君たちに任せることにする
右へ右へ、と街は緩やかなカーブで
今も回り続けているらしい

僕を追い越していく光線は
一日を開けるたびに増えていく
確かなデータとして証明された、それ、の中
みんなは少しずつ加速していく
ドアノブに手を掛けたまま、君は
昨日の忘れ物にいつまでもごめんねを繰り返している


  少しずつずれる時間に


庭の柿の木に掛けたままの梯子を
上れば空は広くなるはずで
遠くは、手を伸ばせば届くもののはずで
それはいつまでも


  こんなものじゃ、ない


おはようの使い分けが上手くいかない朝は
いつもより、ゆっくりと過ぎてくれる
昨日打ち上げた落下傘は
秋の空には落ちてこれないらしいので
珈琲の隣で明日の準備をしてみせる
少し大げさに、誰よりも明るく


  空に漂う傘の答えは
  そのときになれば分かることばかり
  増える光線の
  その、過ぎた後で


自由詩 梯子 Copyright 霜天 2007-11-04 02:30:43
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