片々しいやつ
佐々宝砂

おれ、カサかぶってんの嫌いなんだな。
馬鹿に見えるからな。
どーせ馬鹿だけどな。
ほんでもここで休むときはカサを外すよ。
外すとイッポンダタラと見分けがつかん、って?
ああ、おれの方が馬鹿だから見分けがつくら。
一つ目の一つ足ってのは同じだけん。

キュクロプスのやつはさあ、
ホメロスにさんざっぱらないことないこと書かれたけん、
あんでも神様だし、
天目一箇神サンときたらよお、
いまだにお伊勢サンの別宮で祀られてる神様じゃん。

それにくらべたらおれってなんだら。
付喪神だらって?
うんそういうセンセーもいるよ。
イッポンダタラの親類だの、
天目一箇神サンが落ちぶれた姿だの、
男根だの、
蛇神だの、
龍神だの、
いろんなセンセーがたがいろいろ言ってくれてら。

ふんでもおれにはわかりゃせん。
おれは馬鹿だって話だ。
カサとっぱらうと、
ふんとにイッポンダタラと変わりゃーしん。
ま、カサかぶっても、カサとっぱらっても、
馬鹿な頭は治りゃしんわ。

おれの言うこんが変だって?
おりゃどーせカラカサ小僧さ。
おれの言うこんなんか出鱈目さ。
カサかぶっても、カサとっぱらっても、
おつむの足りないカラッカサさ。


自由詩 片々しいやつ Copyright 佐々宝砂 2007-11-02 23:02:47
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