気まぐれ
Tsu-Yo

古いアルバムのような部屋で
調律師が鞭を振るうと
ピアノは彼を乗せたまま
一目散に走っていってしまった
置き去りにされた妹は
泣きながら
何かの楽器になろうとしいている
ジャジャジャジャーン
ジャジャジャジャーン
ジャジャジャジャーン
ジャッジャッジャッジャーン
妹が叫び声をあげる
そんなことをしても
楽器になんてなれやしないのに
彼女の肩にそっと手をかけて
運命とは常に気まぐれなものなのだ
と慰めてやりたかったが
妹なんてどこにもいなかった


自由詩 気まぐれ Copyright Tsu-Yo 2007-11-02 16:59:13
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