少女
凛々椿
仮想世界の猫は
煙草をくわえて
色づきの悪い空
ばかり見ている
裸の水色人形は
壁に視線を向け
半永久的幸福を
指に感じている
依存的治癒音楽
による不治の病
鳥の音が橙色の
地上に蔓延する
命を持つ幽霊は
この世界のもの
ではない言語で
空気と交流する
少女は踏切を背に
時の逆回転を夢見て時計回りの踊りを披露する
鳴り響く汽笛
それを見つめる山羊の目は白く
仮想世界の猫は
長く伸びた爪で
ジュ・トゥ・ヴ
奏で少女を迎え
裸の水色人形は
形失せし少女の
胸元に横たわり
指は焦げて灰に
鳥の音はそして
火の音に変わり
少女は猫の好きな不和色の空を見て
ここじゃないのと泣いた