監禁
狩心

今日も一日、朝起きたらすぐに身体検査が始まる
俺は髪倒れは髪倒れは髪倒れは神だカミカミカミカミ
防護服を着た男が「ウィィィーン」とか言いながら機械音の真似
下から覗くようにカメラが移動 移動移動移動「ウィィィーン」
・ウェディングドレスの下に白いガーターベルトを穿いているかチェックされる
・白いガーターベルトと太股の間に蝶のナイフを隠し持っているかチェックされる
・その蝶のナイフから真っ赤な処女の血が流れているかチェックされる
条件が揃えばワタシは白い花嫁 契約通りのアンドロイド 花嫁 花嫁
背筋を伸ばして直立するワタシの横に それよりも少し髪が伸びたワタシのコピーa
ワタシのコピーaの横に それよりも少し髪が伸びたワタシのコピーb
の横にc、d、e、f、g・・・
そんな行列が液晶画面の中で、地平線の向こうまで続いている、落下落下落下する

防護服の男が銃を構えて静止する
清潔な白い空間に張り詰めた静寂
画面手前のワタクシ(本日1号)から頭を射殺される
倒れるワタシを誰も見ない誰も叫ばない
無表情のままでアンドロイドする「ウィィィーン」
防護服の男が隣へ移動 移動移動移動「ウィィィーン」
その動きに合わせてカメラも動く「ウィィィーン」
防護服の男が銃(カメラ)を構えて興奮する、さも自分の方が強いとばかりに
でもそいつの社会の窓は全開で、萎びた一物が「こんにちは」している
(おいおい、ワタシはお前に挨拶なんか求めちゃいないよ・・・)
「インポによるインポの為の選挙演説なんですね・・・」
と冷静に言う画面手前のワタクシ(本日2号)の頭が一秒後に射殺される予定です、
はい今、射殺されました
と同時に、萎びた一物からは虚無感と真空が税金対策として発射されたようでございます
防護服の男の興奮が治まると、社会の窓が閉まり、一物が千切れ落ちる、床のない床へ
防護服を着た男が「ウィィィーン」とか言いながら機械音の真似
上から覗くようにカメラが移動 移動移動移動「ウィィィーン」
一物がピクピクと痙攣を起こして、血がピューピューと噴出している、とても可愛い
何か喋りたいのだが何も喋れない( 防護服の男は悶絶中である )心の中で笑う女
一物の皮膚上に「復讐」の文字が浮かび上がり、因果応報について説教される
防護服の男は倒れて、そのまま画面下へと落下していく「 さよなら。またね。
新しい清潔な防護服を着た男が画面上から落下してくる「 はじめまして。よろしく。
的確な画面サイズで再度、的確なワタシを映し出す祭壇、綺麗な花嫁だ、血だらけで
液晶画面に対して最高の角度でアンドロイドできたかどうか・・・について悩む女
おお、悩ましい乙女の二枚貝 三白眼に黒目の増殖

白いウェディングドレスと真っ赤な花のブーケ( 永遠に閉じ込められて )

天井から垂れ下がる頭蓋骨 頭蓋骨 頭蓋骨のカーテン
倒れたワタシのコピーbを引き摺るのは それよりも少し髪が伸びたワタシのコピーc
白い空間にポッカリ開いた穴に、ワタシを投げ入れるb、c、d、
e、f、gで積み上げられたワタシ達が異臭を放つので「 さよなら。またね。
火炎放射器で焼却 記憶の中で冷却保存 焼却 焼却
分解された体は白い粒々になって拡散
白い粒々が空間を形成 記憶の中で崩壊 形成 形成
監禁されている女達は
清潔な白い空間を保つ
社会秩序の為に今日も
性的虐待をされた後に
射殺される宿命を背負う自ら進んで一歩前へ ご利用は計画的に
ワ タ シ は 永 遠 に 白 い 花 嫁 で あ る 事 を こ こ に 誓 い ま す
防護服を着た人達へ 「 はじめまして。よろしく。
背筋を伸ばして直立するワタシの横に それよりも少し髪が伸びたワタシのコピーh
ワタシのコピーh(エッチ)の横に それよりも少し髪が伸びたワタシのコピーi(アイ)
ワタシは髪を伸ばし続ける ・・・ 地平線に達するその時まで ・・・
おお、悩ましい乙女の二枚貝 三白眼に黒目の増殖


自由詩 監禁 Copyright 狩心 2007-10-31 18:58:56
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