DTKYK
しゅう

酔っ払いの詩人二人が寝床を求めて、僕の家を占領している。話題に困ると家系の話ばっかりするほうは、ベッドを奪って天蓋気分だし、労働の尊さを語ったあげく、散文ジャンルからランダムに選んだ一文を音読しろと要求したほうは、興奮のあまり寝てしまった。彼の名前は、あと半年326だ。

問題は天蓋気分のほうで、こっちの奴はやたら照れ隠しが下手で自己中心的なくせに自己犠牲の精神が豊富で、他人が期待していないような血まで流すし、すぐ感情的な文章を書いて、誤解したければしろみたいな「どや顔」をする。正直、こいつのことは51まで好きだけど残りの49はあやしい。15くらいまでは嫌いだ。

そいつがさっきからDTKYK、DTKYK、DTKYKで文章書け、と他人のベッドで叫び続けている。まともではない。しかしながら、こいつが尋常ではないのにも理由があるんだろうな、知らんが。と、今夜はベッドを許してあげる。

DTKYKの意味は、毎回違う。KYから派生して、なんかもうよくわからない。多分フラストレーションのあらわれであり、罵倒であり、賛美であり、あと残り全部、こいつはこれであらわしてしまうんだろう。

僕はあらためて、出版社が倒産した事実を巡る感情的な論争を読みながら、こんな国語力のない犬には噛まれたくないなあと思う。326さんいわく、この件は算数の問題らしい。天蓋気分が安らかに寝息をたて始めている。同情の余地のない奴だ。でも間違ってはいない。だから救えねえ。

おれ、明日授業だ、自由に寝るな、帰れ、まじDTKYK。


未詩・独白 DTKYK Copyright しゅう 2007-10-29 04:03:15
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