われもの注意

ささくれた指先
押し当てた唇から
滲むのは
深まった傷の痛みと
濡れた痺れ

説明書の
但し書きには
何の注意も
されていなかったから
僕には
僕の考えの及ぶ範囲
でしか
走ることも
飛ぶこともできない

二三度瞬き
重さと距離を
正確に測って
こない合図の代わりに
背中を押す手を
振り払い
躓くように
踏み出す

不安定な
真実から順に
壊れて
こぼれ落ちてしまった
としても

始めたら
最後まで
届くまで


自由詩 われもの注意 Copyright  2007-10-27 18:16:49
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