秋雨
白昼夢

遠くの空からやってきたものが
通り過ぎていったから
私の体は水を含んでしまった
かさを閉じて空をみあげる
灰色のくもが笑いながらうたっている

ついてくる雨音が聞こえる
歩いても歩いても
そこには灰色のくも
私はかさをひらいた
少しだけ、濡れなくなった

小さな滝と川ができていた
誰も住んでいない川に
誰も昇れない滝
消えてしまう短い流れに
私は足を踏み入れる

裾の色が変わる頃
外は白いしずくの騒音がこだましていた
水を含んだ私は消えていく
どこからともなく声が聞こえる
外を見ると、まだそこには灰色のくも


自由詩 秋雨 Copyright 白昼夢 2007-10-27 02:40:07
notebook Home