シングルマザー
狩心

手ぶらボーイがゼブラで交差点
明け方の町

わたしの足長おじさんコンドームの中で死んだ
ヘイ ベイビー グッドモーニング とか言いながら
二酸化マンガン必要としてた
でもわたし 三角フラスコ持ってないから

体の中に埋め込まれた硬い石
消毒した手を突っ込んで
そいつを取り出そうとするんだけど
出血多量で多分わたしもう死ぬ

裏切り者に取り囲まれて本能寺の変
体中がメラメラと燃えて
一瞬、そう一瞬だけ、
時代を間違えた知ってる
今は生後三ヶ月
宇宙の中の孤独

冬眠しているクマさんが
両手を広げてガオーガオー
弁天様弁天様
わたしはちょっとだけベイビー
ヘイ グッドモーニング
落書きしませんか×2で

ため息をついた足長おじさんの足を
フライングチキンにして
チックタックノーム
あら、もうそんな時間ですかと、
老人になったわたしが
わたしに話し掛けた
すこぶる機嫌が悪い
パンツ脱いで投げつけてやった
投げつけたパンツを拾って頭に被せてやった

見たくないものは見たくない
見たくないものはぜんぶ変態
イモムシがサナギになって
サナギがチョウになる
ちょちょんがちょー
えんがっちょになる
きたないきたない
きたないものはぜんぶ切腹
切られたお腹からは赤ちゃんがグッドモーニング
ヘイ ベイビー
おまえなんて嫌いだぁ
どるふぃんきっく見てみたいだろ?
えぃ!
笑ったあんたの顔変態だ
笑ったあんたの顔
なんて可愛いんだろう
引き裂いてしまいたい

わたしが1と言うと
時間は3進む
わたしが+と言うと
時間は−になる
だからわたしのおっぱいは
重力に負ける
変幻自在で多分
もうすぐ手が四本になる
わたしとあなた
生きてくしかないのね

人々が行き交う交差点
手ぶらボーイは横断歩道の中に消えた
その音は、都会の雑音のせいで聞こえなかった
目も見えなかったわたし
手探りで今、電信柱に触った

体が男になっていく
明け方の町
手ぶらボーイがゼブラで交差点
すれ違った女に
恋をした






自由詩 シングルマザー Copyright 狩心 2007-10-26 14:01:52
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