逆光の爪先
たりぽん(大理 奔)

明るい照葉樹の森で
点滴を打ちながら
二酸化炭素には気をつかっている
ロハスな昼下がり

生き方にまで
流行があるのだから
死に方にも流行があるのだろう
思いのままに生きられない
狭苦しい照葉樹の森で
静かな生活スローライフ
ファッショに染まっていく

貫くということ
それは、爪痕
ぬかるむ北アイルランドのわだち
泥炭層に打ち込まれた
凍える鉄条網の杭は凍えて


傷つかねば生きられない愛しい人が
また今夜、街で傷ついている
小さな罪受け入れながら
小さな生き様を守っている

もしも、あらゆる暴力が
大切な人を奪うときが来れば
ためらわないだろう
私の声が届く範囲の
、を奪われるなら

  明るい照葉樹の森を歩いている
  落ち葉の下の生き物たちを踏みつけながら
  明るい照葉樹の森を歩いている
  あなたの手を離さない
  杭のように凍えながら貫いて

私の轍で逆光にふるえながら
静かにそのときを待っている
残酷なその小さな罪ミサイル








自由詩 逆光の爪先 Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-10-24 23:45:28
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