恋人健忘症。
狠志

忘れない。

そんな嘘をよく言ったもんだ。

あなたの名前をもう呼んじゃいないよ。

あなたのこと、忘れないなんて別れて。

何年もの歳月のせいにして。

忘れかけてるよ。

忘れてるよ。もう、あんまし思い出せない。

愛したはずのカラダさえも。

忘れたよ。

そんな嘘は通用しないみたいだ。

街の中でふっと、手を繋いだことを思い出したり。

恋人の名前呼び間違えたり。

嬉しかった言葉も声も。


一生忘れないよ。

そんな嘘。

どんな嘘。

なにが嘘。

ぜんぶ嘘。


「だから何?」

って、そんなこというんでしょ。

可愛い声で。



自由詩 恋人健忘症。 Copyright 狠志 2007-10-22 01:03:12
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