創書日和「酒」
虹村 凌
破れぬ夢を引きずって
銀色の夜明けにたどり着いたら
大きな花火を打ち上げよう
ただ黙って抜け出した真夜中の後に
大きな花火を打ち上げよう
リタのダイナーはようやくシャッターを開けて
眠そうな顔の店員がテーブルを拭いている
50セントのジュークボックスでは
ストレイキャットが歌ってるよ
銀色の雲はまだ眠そうで
昼行灯
呼ぶ声が聞こえる
便所の100ワット
聞こえないふり
北極でゴキブリホイホイ
肩を掴まれて
真っ青な木枯らしに
疲れ果てた入道雲が蹴散らされるみたいに
生ぬるいアスファルトに横たわる
何時か忘れたけれど
聞こえていたアスファルトの鼓動が聞こえない
通り雨がアスファルトを匂い立たせて
少し酔ったような気分
昼行灯
酒は要らない
便所の100ワット
飲んで寝るくらいなら
北極のゴキブリホイホイ
ずっとこうしてる
遠くの方で動きの危うい車が見えた気がした
昼行灯
何も聞こえない
便所の100ワット
何も聞こえないフリのフリ
北極のゴキブリホイホイ
轢かれた気がする
昼行灯
何も聞こえない
便所の100ワット
酒なんて要らない
北極のゴキブリホイホイ
何だか暖かい
目を覚ます
もう真夜中だ
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