ドードーと僕たち
クリ

家の真ん中に ドードーの巣があるのです

絶滅させた張本人として歴史書に残りたくないので
バスルームには大きく迂回しなければなりません
慣れないうちは何度も卵を踏み潰しそうになりました
彼らはめったに鳴声もたてないし 臭いもほとんどありません
他にこれといって困ることはないのですが 問題は
親鳥の餌になるマザーグースベリーを探さなければいけないこと
そのために僕は仕事を辞めなければいけませんでした
夜は妻と交替で野犬の群れを追い払わなければなりません
娘は朝晩の二回 巣の周りの糞の掃除です
我が家はドードーを中心に回り始めました

そうして3年が経ちました
まだヒナは孵りません でもそれでいいのです
もしヒナが生まれてしまえばすることがなくなってしまうからです
卵がいつまでも巣の中で卵であり続けるかぎり
僕たちは確かな目的を持って一所懸命生きていけるのですよ

そんな生活は止めたらいいのに と思いますか?
あなたの人生も そんなようなものなんですよ
子供の将来か仕事か地域の発展か趣味か出世か ドードーか
それだけの違い なんですよ

家の真ん中に ドードーの巣があるので 僕たちは幸せです

poeniqueの即興ゴルコンダのお題「ホームセンター」に投稿したもの


                        Kuri, Kipple : 2004.06.06


自由詩 ドードーと僕たち Copyright クリ 2004-06-07 00:39:35
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