それに関するいくつかの事象
ピッピ


それは久しぶりに口を開けたのでケーキをつっこんだら美味しそうに食べた
長年口だと思っていたが呼吸もしないし食事もしないので不安だったのだが
こうなれば他に食べるものも調べたいと思ってたくさんの食べ物を用意したが
それはそれ以降全く反応しなくなったので私が全部食べてしまった




雨の降った日にようやく家に帰り濡れた傘の雨粒を振り払ったら
真っ暗な玄関の片隅がいやにはっきりと光っていて気持ちが悪かった
よく見ると光は黄色や青の極彩色でそれの形状にまばゆく光っていた
いつもは部屋の片隅にいるはずなのに今日はどうしてそんな場所にいたのか




それは端から見ると真っ黒なのだがところどころ細いところがあって
そこをよく見ると向こう側が透けている
ずっと眺めているとなにが面白いのかそれとも怒っているのか
のったりとしたスピードで右へ左へ動き始めるので私はげらげら笑う




それは足を持たず体全体を使ってのっそのっそと移動するのだが
どう見ても転がったほうが早いように私には見える
飲食も排泄もしているところを見たことはほとんどないが
それが私の部屋にいるようになってからは若干湿度が低くなった気がする




そもそも必要かどうかは分からないがそれはお風呂が大嫌いで
普通に持つと何ともないのだが浴室へ連れて行こうとすると変な体液を出す
人体に害はないようだが洋服がべちょべちょになるので以来連れていない
一度子供用プールを用意したが本気で怒ったようで部屋の中をぐるぐるした




それは大きな音に反応してよく私に寄り付いてくる
最初に出会った時も私が仰天して大声をあげたらなぜかなついてしまったので
こうして部屋まで連れてきて一緒に生活をしている
私がいない時に大きな音が立ったらそれは一体何をしているのだろうか




それは数日に一度部屋から忽然と姿を消すが半日もせずに戻ってくる
それに会って以来何度か同じ形態の生物を街で見かけるようになったから
あれが仲間なんだろうかと思ってそれには特に言及もしない
帰ると若干縮んだように見えるが特に行動に影響もないようである


自由詩 それに関するいくつかの事象 Copyright ピッピ 2007-10-17 04:14:15
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