既死の女
朽木 裕

生首を抱えて逃げる 君はさしずめメデューサ
目を見てはいけない 目を合わせてはいけない
簡単に囚われてしまうから ね?

でもどうしてだろう 君の抱えているその首の顔
どこからどう見たって君にしか見えないんだ

石畳を舞うアンブレラ
雨風に君の呼び名を乗せて
黒いワンピースからのぞく手足が白くて白くて白くて赤い
君の望みは血に染みて
月は傾きワンピースは新月色

君(自我)が君(無意識)を連れ去っていく
 
嗚呼 囚われた

時計の針が戻り始める
雨でもないのに赤い傘をさした、黒いワンピースの女の子
君の名前を僕は確かに知っているよ


自由詩 既死の女 Copyright 朽木 裕 2007-10-16 00:12:19
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