創書日和「酒」  21%
士狼(銀)

もっと上手に生きられたらって
泣いた夜も
毎日少しずつ違う朝は迎えにきた



からん、と錆びた音がした
気がする


頭を撫でてくれる手が好きで
これが欲しいああして欲しいって
必死に嘯きながら
それだけがずっと欲しかった

お行儀よく提示される愛が大嫌いだった
切れ味の悪いナイフで皮膚が裂かれるみたいで
たぶん、その傷は痕になるから
それ以外は全部捨てようと思って
守ろうと思って
自分が大事だから
だから、
牙をむいて、


捨てた分の感情を埋めるために
銃爪を引くイメージのままプルタブを引く

アルコール水溶液に溺れる
そんな真似ごとだけは、
上手くなった


からん、って錆びた音がする
気がした
わたしの、あたまんなか。



時間がくれば朝が
素知らぬ顔をして迎えにくるから
もう少しだけ

静かに泣いていよう


自由詩 創書日和「酒」  21% Copyright 士狼(銀) 2007-10-12 01:46:49
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