自由の代償
@ショコラ

      
ここから見える景色は
いつも同じで
夕日が沈む頃になると
誰かが食事を用意してくれる
      
食べる物には困らないが
自由がない
いつかこの狭い空間から
逃げ出そうと思ってた
      
ある時鍵が開いていたので
そっと扉を押してみた
いつも見ていた
真っ赤な太陽に向かって
どんどん進む
      
疲れて羽を休めるが
夕日が沈む頃になっても
食べ物は無い
      
ずっとあの場所で育った僕は
食べ物を手に入れる術を知らなかった
寒さと飢えと孤独が襲う
      
季節は冬…
自由を手に入れた僕は
失う物がある事を知らなかった
      
もう戻りたくても
戻れない…
     
その時
大きな手が弱った僕に
手を差し延べた
また僕は狭い空間に戻されたが
もう二度と逃げ出そうとは思わない

《2007.10.11》作



自由詩 自由の代償 Copyright @ショコラ 2007-10-12 00:13:47
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