秋の雨
いねむり猫


苛烈な夏の記憶で、まだのぼせている頭を
しとしとと冷ましてくれる午後の雨

熱いアスファルトに幼子が撒く打ち水のあわれ
小さな木陰からはみ出た肩を焼かれながら涼む老婆
グランドで叫ぶ少年たちの内臓まで熱く枯れた夏休み

むごい夏の記憶を小さな雨粒が一つ一つ癒しながら消していく

こうして季節が移り変わることが 

秋がこのように静かに歩むことが

秋がしたたるように体に染み込むことが

密かにうれしい午後


自由詩 秋の雨 Copyright いねむり猫 2007-10-08 12:24:00
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