こんな夜は
風音

夜更け
車窓に映るわたしの影
扉にもたれて
窓外を見ても
映っているのは
疲れた車内

電車を降りれば
きっと夜風が吹いていて
わたしをやさしく家まで連れ帰ってくれるだろう

けれど
ドアを開けても
ただいまも言わず

いつからだろう
ただいまを言わなくなったのは

ここはわたしの居場所じゃない
わたしの居場所は
いったいどこ?

遠く離れた両親のもとでもなく
たぶんあのひとの腕の中でさえない

わたしはわたしを見つけられず

こんな夜は
涙も流さず
部屋の隅にうずくまる

こんな夜は
眠らず静かに
夜明けを待とう


自由詩 こんな夜は Copyright 風音 2007-10-06 17:15:33
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