鏡恋歌
佐野権太

あいの里
しのつく秋の雑木ぞうもく
湯ぎりのしずく
かじかむむねのめぐみよ

髪を結い
知らぬみちをぬけて
はにかむ街へ
いつか人とはぐれて
ふちにたたずむ
銀のあかりあびて
なくなよわがみ

ちいさな風にうちあける
まよいごと
浮きわたる
うちゅうのくもに
ゆびをきる
まもりごと

あたためる湯の
かなわぬ頬に
あふれる祈りは
じょうぶに
ただ、じょうぶにと
花、花、うつくしくちる
花の想いよ


自由詩 鏡恋歌 Copyright 佐野権太 2007-10-01 11:01:31
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