『夜想曲』
東雲 李葉

君は 跳んでく 月の向こう側
僕は 見上げる 届かぬ星を
歌を忘れて迷い込んだ
音のない森 僕はひとりで
うやむやな影した 木々は眠って
湖に映る 三日月は 君の影を映さない
今夜もここで 君を待つ
君はどこで こんな僕を見てる?
青い羽の蝶々が
ひらり ひらり 夜を舞い
檸檬色した斑点が まるで散らばる星のよう
いつも いつでも 僕を導くあの星が
すでにそこには無かったら僕が死ぬまで輝けるか?
あるいは僕が星になったら
誰にも負けない輝きで君の隣にいられるか?
風が吹いて 梢が揺らめき
僕のようで僕じゃない 別の誰かを作り出す
手を繋ぐ 夢のなか
君とふたりで月面着陸
小さな小さな一歩だけど 僕は大きな想いを抱いた
会いたいよ 届かぬ空を掴むように
君のからだ残すことなく 僕の両手で抱き締めたい
風が連れた雲に隠れて
誰も知らない夜の世界に 君と二人で溶け込みたい

今日もどこかで旋律が とぎれとぎれに鳴り響き
口笛 ひとつ 吹いてみたら
君の声によく似ていて 余計に淋しくなっていた…


自由詩 『夜想曲』 Copyright 東雲 李葉 2007-09-30 23:56:58
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