親戚の欠片
Tsu-Yo

「遠い親戚です」と呟きながら
脂ののった秋刀魚を食べる
身を骨から器用に削いで
大根おろしをちょんと乗せて
神経質に醤油を垂らして
「遠い親戚です」と呟きながら
秋刀魚の塩焼きを食べている

「どんな時も感謝の気持ちを忘れるな」
という今は亡き叔父の厳しい声が
遙か遠い日の港町から聞こえてくる
「遠い親戚です」そう呟くたびに
溢れてくる涙の中を
骨の秋刀魚は泳いでいくが
いつかの海にはたどり着けない



自由詩 親戚の欠片 Copyright Tsu-Yo 2007-09-26 20:07:42
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