池中茉莉花

引っこ抜いても
引っこ抜いても

また芽生え
瞬く間におがってゆく
バオバブの不気味な根

彼は
今日も
わたしの星を
侵略する


わたしは寝場所を喪って
大蛇のようなその根の上に
もたれかかる

彼はわたしに囁きかける

「ピアノはやっぱり
グランドがいい」

夜通し彼と戦った
ひとりきりで
ただがむしゃらに


でも既に
時遅く
根は星じゅうに
広がった

もう住処は
どこにもない

ばったりと
崩れ堕ちたわたしには

新しい朝は
やってはこない



自由詩Copyright 池中茉莉花 2007-09-25 06:39:14
notebook Home 戻る  過去 未来