太陽
狩心

芸術が権力を持ったとき
自ずと芸術性を失うだろう
ジャーナリストが権力を監視するように
芸術も権力と反目
成功した芸術家が
安全な場所で表現したところで
何の感動もない

目に染みるような死臭
泥水に塗れた歩く事も困難な湿地帯を
這いつくばりながら
反吐を吐き
血を流し
手足を切断しながら進む
人間とは到底思えない
動物以下の異形の生物

凡人であるが故に
凡人の気持ちがよく分かる
凡人が異端の心を持つとき
それは死にそうな自分と
継続の力でしかない

新しい太陽
古くからある太陽
太陽は重なる
今、我々の頭上にある太陽は
数え切れない数の太陽が重なった一つの太陽
人々を照らしている

エネルギーは有限である
あの太陽も燃えるものがなければ燃焼を止める
私達は一つの材木
私達は一つの気体
燃え盛る炎の中で
熱さに耐える
火葬場に消えた先祖達の心
焼けた跡に残る白く硬い骨

太陽は暗黒の中を漂い
宇宙の孤独を燃焼する
太陽の形は
消えていった人々の心

空を見上げると
今日も太陽が輝いている
眩しすぎて
涙が止まらない


自由詩 太陽 Copyright 狩心 2007-09-22 20:17:50
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