【恨み節】
つむじまがり

8年前 私は真実の歌をこの腕に抱いていたの。
しかしそれは本当の意味での真実の歌ではないと皆が言ったわ。
「それはただの自己満足よ」
「それはただの独りよがり」
「それはただの思い上がり」
「あなたは視野が狭いのよ」
「あなたはまだ若いわ」
「音楽は皆で作るものよ」
「あの先生の歌を聴きなさい」
「人に教えることも勉強よ」
「周りの声に耳を傾けられない人は
周りの人に歌を聴いてもらえないわよ」
それらの助言に私は素直に従いました。

8年間

さまざまな先生に褒められ、けなされ、励まされ、生徒も持ってみた。
確かに少しは勉強になったけど、たいして役には立たなかったわ。

どんな先生の歌や演奏でも
ついに私の理想を超えるものは無かったの。
誰をしても私を感動で震えさせることは出来なかったの。
誰をしても私をワクワクさせなかったの。
誰をしても私を100%虜にさせてくれなかったの。

そうして血眼になって探し当てた本当の歌は
私が8年前に大事に持っていた歌のカタマリだったよ。
わかる?

だから今大きな声で歌うの。

「私は間違っていなかった」 って。



自由詩 【恨み節】 Copyright つむじまがり 2007-09-21 17:44:24
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