連れてってくれ
松本 卓也
遠く透けた青の先に
星が瞬いたように見えた
メトロノームと馬車馬を
足して割ったかのように
徐々に朽ちて行く時の片隅
枯れる事も出来ないまま
街路樹はやがて眠る
安らかでさえない夢の中
何を思い出すのかも分らず
溜息と埃が陽射しに消えて
昨日抱え上げた憂いを一つ
車道に放り投げてみる
乾いた音を立てて潰れた空缶
跳ね飛ばされながらやがて
原形を失っていく過程が
生き様であるかのよう
空を舞う烏と目が合って
いつまでも逸らせないのは
単に憧れを抱くからか
連れ去ってくれるかもと
微かに願うからなのか