連れてってくれ
松本 卓也

遠く透けた青の先に
星が瞬いたように見えた

メトロノームと馬車馬を
足して割ったかのように
徐々に朽ちて行く時の片隅

枯れる事も出来ないまま
街路樹はやがて眠る
安らかでさえない夢の中
何を思い出すのかも分らず

溜息と埃が陽射しに消えて
昨日抱え上げた憂いを一つ
車道に放り投げてみる

乾いた音を立てて潰れた空缶
跳ね飛ばされながらやがて
原形を失っていく過程が
生き様であるかのよう

空を舞う烏と目が合って
いつまでも逸らせないのは
単に憧れを抱くからか
連れ去ってくれるかもと
微かに願うからなのか


自由詩 連れてってくれ Copyright 松本 卓也 2007-09-21 01:42:37
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