月夜の散歩
明楽

蛍の明かりより清かなる
月の明かりを光源に
夜の闇間に歩き出す
夜の空気を身に纏い
影法師だけを引き連れて
夜の闇間に歩き出す

冷たい空気を吸い込んで
夜との同化を試みる
身体に夜が染み渡る

空き缶カコンと蹴り飛ばし
音を鳴らしてみるけれど
空気は音を吸い込んだ

月に視線を絡ませて
昔話をせがんでみると
月は輝きだけ増した

街灯よりも静やかな
月の明かりを光源に
夜の町を歩き行く
水を泳ぐ魚のように
コツコツあぶくを立てながら
夜の闇間に歩き出す
夜の闇間に歩き出す





2001



自由詩 月夜の散歩 Copyright 明楽 2007-09-19 17:50:29
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