コックピットの構造
狩心
俺はコックピットを携帯していた
その中に座るリカちゃんが足を組んで
仕事に疲れた男達の死んだ目を
刺激的に舐めた
人を殺したいと考えていると
人相もそういう顔付きになって
疲れた男達の汗臭い目から
リカちゃんの太腿をさらに遠ざけた
俺はボディガード
流れ弾は体で受ける
鬼のような奴ほど子供のような可愛い黄色い上着を着て
皆に見られてビクビクと感じてる
昭和のアイドルが平成に紛れ込んできてしまったかのように
歌謡曲を歌いだす
男は演歌だろ!
そしてローラースケートとバンダナ
ジェロム・レ・バンナも並走してきた
リカちゃん人形が青コーナーで俺の名前を呼び
朝青龍が赤コーナーで救急車を呼ぶ
俺は青コーナーだから
如何様してでも赤コーナーに負けないといけないトゥナイト
三銃士またはアメリカンインディアンの敗北を
底墓となくマクドナルドした
確実に言える事は
俺達はパンナコッタではないという事だ
もちろん、プリンでもない
しかしリカちゃんのボディはプリンとしている
上段ガードは完璧で波動拳も効かない
唯一、エドモンドホンダのサバ折りが効果的だが
それはセクハラになるから止めておこう
俺の名前はお前の名前
お前の名前は俺のモノ
堕落者を狙う擬態者、社会はそういう風に進化してきた
吐きそうなほど
珈琲を飲んだ
変換された体は
茶色い土としての小便を放つ
俺は色縁眼鏡を外して
自らの目を
取り戻す必要があった
蟻の巣に迷い込んだ
干乾びたミミズだ
イカに間違えられたタコ
如何にして、タコ殴りの状態から抜け出して
イカした人生をタコのように柔らかく生きるか
わさび醤油に漬けた
広がった二本の箸は
何かを掴む為に日本の柱を閉じた鎖国だ
コックピットは砂埃
目に沁みるコックにピットインした俺は
その日その日で終わる仕事の中で
人々のリアクションを確かめた
F1レーサーだ
化粧台の前に立つと
俺は男である事を忘れる
これからパリコレデビューを果たすが
それは乞食が這い上がる動作に似ている
ズタボロで異臭を放つ衣服は
人々を遠ざけて
最先端のファッションだと
自己満足の夜に更けて行った
全自動洗濯機のお前が
ベックスコーヒーで
バス乗り場を探していた
ここにバス乗り場はないですよと告げると
十二時の鐘と共に
シンデレラの靴が投げ捨てられた
真空から生まれた和歌武者が
アパートの光で扉
叩いて叩き出されたダサい格好のまま
有刺鉄線の柵を前のめりに越えていった
石畳の線路
千利休の茶道が
戦場におけるキリスト教の弾圧について
断末魔の雄叫びを
オンラインゲームのバーバリアンのように
模作した
不届き者め
変えた男と変わった男
変わる日常と変わらない本能
変えられた
君の足が可愛い
二等辺三角形のポーズをしている君の足が可愛い
まったく変わらない穴の暗闇で叫ぶ男の声が
君のその二等辺三角形のポーズの奥から聴こえて来る
振動は君に伝わり
君はブルブルと震え出す
君はガクガクと失神する
私の中にお化けは居たの!?
暴れるゴジラの盆踊り
墜落してくる飛行機の
今、日本国民全員が
バッターボックスに立った
ピッチャーは投げそうで投げないふり
ボークの連続で
いざ投げたら暴投かフォアボール
仕方なくバットを捨ててトボトボと歩く選手の
足はガクガクと震えている内股の恐怖
ベンチの仲間が内股で「だっちゅーの」を見せ付けて
観客席の人々が内股で「パラパラ」を踊り出す
みんなで夏のウェーブ
ここは海の中の太陽