森の中に埋もれる | Burried in the forest (edit)
AREA51

暗い夜

湖のほとりに立つと

水面は青く光っていた

僕は湖にゆっくりと入り

深く潜って行った

底がまるで見えない海溝のよう



気がつくと僕はマグマの前に来ていた

青く暗い湖の底で

地殻の割れ目から

赤いマグマが静かに頭の裏に届く

暴力の瞬間を思い出すように

ゆっくりと吹き出していた



見つめ終わると

僕は水面に向かって泳いだ

浮かび上がり白い息を吹き上げれば

空にはぽっかりとあいた

黄色の月があった

緩やかな波の盛り上がりを

アイスクリームを削り取ったように

照らしていた

僕はロッヂに歩いて戻りペッドに入る



翌朝、

森の土が食卓に盛ってあった

スプーンでゆっくりと口に運ぶと

パセリとミントが広がった

僕は、いくつかの小石をポケットに詰め込むと

森の中へと歩いていった


いつもの場所にきた

そして、また、石を積み上げた。

トカゲが白い霧のなか

目をくるりと光らせ

石の上にのった

僕は見えない空を見上げると

そのままその場所で

大きく息を吸い込みながら倒れ込んだ

僕は、森の中に埋もれ

空に浮かぶ星を見上げた

食され朽ちて行くこと

食し排泄していくと

堆積し生まれ変わること

白い息を森のこけの中から

吹き上げる

僕の脳はイメージする

君の脳もイメージする

この世界は僕らが見たいように見るだけではない

けれど見たいと願えば見れる世界もある

底しれず沸き上がる水の流れは

こんこんと岩をたたき

大きく静かな音を

森の中に投げかけ続けた


fin.


自由詩 森の中に埋もれる | Burried in the forest (edit) Copyright AREA51 2007-09-16 05:43:55
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