Lightning strikes
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夏の余韻を確かめるために
線香花火を燃やしているらしい
懐中電灯が無くちゃ
何も見えないような夜の中
笑い声と破裂音が響く
車輪の音に泣き声さえも掻き消されそうな
高架線の下で
生まれた生命を
しなやかな言葉で包んでくれたんだ
其れだけで
愛しく思うには十分だったから
秋の足音を聴きたくなくて
打ち上げ花火に火を着けたらしい
街の灯りも消え失せて
何かが掴めそうな夜の闇
微笑みと火薬の匂いが漂う
確かに聞こえたのは 君の声
雑踏の影に哀しみさえも不確かになりそうな
高架線の下で
吐き出した詩を
美しい文字で描いてくれたんだ
其の日々を
今更 好きになるのは遅過ぎるかな
遠くで雷が鳴る
雨が降る其の前に全てを伝えたい