笑えること
狩心
膨れ上がったお腹を擦る
ただ単に太っただけだ
そうか、もう私の中に子供はいないのか
歩くだけで一苦労だ
足の横には義足、義足の横には杖、杖の横にはバイク
バイクの横には自動車、と言いたいところだが
うちは貧乏なんで、そんなものはない
歩くだけで一苦労だ
見慣れた家の食卓
腰を落とす度にリモコンに手を伸ばす
もう止めにしないか
目を使うことは
頭を無闇に刺激する事は
辺りを見回したって何もありゃしない
必要のないものが
有り触れているだけだ
町を歩いたところで
間違えた方向に進むだけだ
地球の自転を感じてみる
しかしそれは飛躍しすぎたイメージ
地球が丸いなんて嘘だ
私達が感じ取る地球は
水平方向に続いている
アパートの階段を下りた時に
上っている感覚に陥った
足元がぐら付いて
階段を踏み外してしまった
地震が起きるとき
それは人々が水平感覚を失った時
その理由としての現象
揺れ動く世界で
自分の目を落としてしまった
ころころと転がって
それを見ている子供達が
面白いおもちゃだって
笑ってくれた
すまんね
年はとったが
おじさんも君たちと変わらない
小さなおもちゃなんだ
無駄毛の処理をする娘が
おとうさん、鼻毛でてるよと言う
すまんね、わざと出してるんだ
おとうさんも、完璧じゃないからね
力を入れる度に全てのものが空回りする
しかしその姿は
やはり子供達が笑ってくれるから
もっと空回りしてやろうと
大人気ない考えで
今という時を、子供のように過ごしたいと、考えている