季節の狭間にて
megie

いつもの下り坂を自転車で走り抜けてたら
ふと風の匂いが変わった気がしてブレーキをかけた。
片足を地につけて斜めに空を仰ぐと
丘の上で穂を送りだしたばかりのススキが
遠慮がちに目配せを寄こしてきた。

橙の陽が傾いて夕刻を告げる頃
蝉時雨は次第に声をひそめて
これから夜長を包む鈴に未練を託してる。
トンボは俯く向日葵にそっとくちづけ
朱色の飛線で螺旋を描いてから
彼方へ高く浮翔していった。

見送る夏の終わりは
心地よい気怠さを伴って
迎える秋の訪れは
いつも不思議に懐かしい。

忘れ物はありませんか
支度は調いましたか

寂しさと虚しさと行き処のない感傷は
胸に抱いたままでいいのよ
そして再びやってくるあの瞬間を
ここで一緒に待ちましょう
時を共に、友にして。


自由詩 季節の狭間にて Copyright megie 2007-09-13 12:34:00
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