廃墟
佐藤清児

やがて来る 浸水した床下から
新しい手が生えてくる

風が走り去った午後の遊園地
ベンチには黒い影が二つ 揺らめいている
そして二つの風船 雲の彼方へ消えていった

全ては千切れた羽の様に
唐突に、終わりを告げた

水浸しの街路地
排水溝から顔が覗いている
呼吸をするために這い上がってきたのだ
やがて新しい手が生えてくる
やがて来る終末の夕暮れ
影は死に絶えた
手が虚空を彷徨う
瞬きもせず


自由詩 廃墟 Copyright 佐藤清児 2007-09-12 12:11:05
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