■共同作品■ 時の花いろ
Rin.




   〜秋〜 水色揺々 


   「手折れぬは花言葉」


水色の細い曲線滑らかに夕を奏でる9月のフルート

コスモスの薄紅風とたわむれて赤トンボかわし鬼さんこちら

夕顔のしろき横顔きみに似て微笑みひとつ宵のあぜ道

虫の音が夏の名残りとせめぎ合い月は黄身色夜の懐

向日葵の後ろ姿も切なくて声にだせない「サヨナラ」の夏

長き夜にしたためる手紙(ふみ)出す宛ての消えた窓辺に澄む月の顔



   〜冬〜  白いピアニッシモ


   「春誘」

雪解けを誘う春風吹こうとも 胸の暖炉の種火は消せず

やわらかな雨に変わった雪のうた ピアニッシモの冷たさを残し

風に乗れ校庭抜ける若きうた 白き雲こえ気高くひびく

急行は如月駅を通過して 雪解けトンネル出口は桃色



   〜春〜 淡色の夢


   「Cherry,my Love」

口付けに咲く散る舞う舞うほら桜 触れてごらんよ淡色の夢

春風の行方占う花びらは 「キライ」はなくて「スキ」と「キス」だけ

ペダル漕ぐ汗ばむ気づく衣替え サクラの枝も雪脱ぎ花へ


   「木蓮を詠む」

木蓮の産毛に露の珠ひかり 春のおとづれ何と聴くらむ

木蓮の白遠目にもあざやかに あざやかゆえに染まれぬ孤独





短歌 ■共同作品■ 時の花いろ Copyright Rin. 2007-09-09 16:48:34
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