筒状の各々の夜
アハウ

夜と静かな 闇
寝入りそうな 息をして

この夜の底を待つ
深夜の二時に訪れる
空想の扉とともに

深い 井戸の底
空ろに響く
闇に闇を重ねた
秘密の場所

この小さな部屋から
夜の底は展開して
星のない 響かぬ空間へと伸びる

天空にそそり立つ
筒状の夜
闇に闇を重ね
摩天楼の余韻

午前二時 この時に 目覚めている 個体 一人一人に
一人一つ 固有の夜の物語が
メモリーチップに書き込まれ
その夜はささやいている
林立している

深い情緒の井戸の底から
清水が湧き出て
アスファルトの都会を潤す

水鏡に
夜の底は映し出され
林立する筒状の夜

夜と各々の夜は対象形

午前二時 
眠らない夜の底に
そそり立つ筒状の各々の夜


自由詩 筒状の各々の夜 Copyright アハウ 2007-09-08 02:12:46
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