Image
瀬田行生

列車のベルが鳴る


どうして

どうして

僕らは旅に出て行くんだろう

小さなリュックをさげた女の子が
泣きながら
走って列車に飛び乗った

大きな声で
彼女を呼ぶ声がする

それは男の子だろうか?

その名前は難しい名前じゃない
どこにでもある名前・・・

偶然の出会いは

常に


僕の乗ろうとしている電車は
彼女にとっては
これから生きていく上で
忘れられない思い出になるだろう

列車は今日も色々な人を乗せていく

旅人の僕はこの列車に乗ることは二度とないだろう

同じ日に同じ太陽の角度で
同じ目的地で
あの泣いている女の子がいて

窓際には
小さな白いハンカチが
レールの上に 静かに落ちた
過ぎた列車の痕に


自由詩 Image Copyright 瀬田行生 2007-09-08 01:07:02
notebook Home 戻る