今日とか
水町綜助

みどりいろに見えた空は
そりゃ当たり前みたいに青いわさ
そうやって
きかれりゃあ
そりゃあ

なんかいちまい
目に膜が
かかっとる
うすくて
透けとるのが

はがしてみやあ
欠伸のふりでいいから
うつむいて
目えこすって

あついだろ
目の中が


ニューワールド
新しい世界の始まり

だとか
そんな広告を
よく見かけながら町を歩いとるわ
それは赤い字で
通り過ぎるまで十五歩くらいはかかる看板だわ
古くなっとるんだろうか
なんてぼんやりと不思議に思うけど
レジ袋は買わなくちゃいけないとか言われれば
なんかそんな気もするわ
しかし俺はたぶんガソリンを買い続けるだろうなあ
当分は
ああでもそんなこと言いたい訳じゃないんだわ
べつに

東京は久しぶりの台風直撃とかで
明けて多摩川はえらいことになっとったよ
河川敷いっぱいが茶色い泥水に浸かっとって
橋桁にはだうだう水がぶつかっとった
営業さぼっとる俺や二、三人のホームレスや、買い物帰りのおばちゃんや、ひまな大学生やおっさんは、もう波打ち際になっちゃっとる土手の石段に、少しずつ離れて座って
泥水の波が打ち寄せとるなか、流された雷魚が浅瀬でもがいとるのを見とった
まだ風は強くて
紗幕みたいな雲がかかった晴れ間のした
ちいさな長靴が転がっとった
ひしゃげながら

ニュー・ワールド
新しい世界の始まり

なんて
天気予報なんてなかったころ
こんな嵐の後の晴れ間がいつもそんなもんだったんだろうなあ
ぜんぶ流して沈めてまうかもしんない夜をふるえて

べつに古くもなっとらんだろう
と思うわ
ビタミンCの入ったジュース飲み干したら、透明なビンは濡れとってなんかきれいだったし






自由詩 今日とか Copyright 水町綜助 2007-09-07 22:59:36
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