届かない空に
千波 一也



そこは空かと問うたなら
鳥はきれいに黙して
はばたく

そのたび言葉は
空から遠いわたしの胸を
いやしの為に
傷つける


 幻はまだ
 あこがれとしての痛み

 選ぶ言葉を
 余すところの不自由を嘆いては
 羽に震わせている
 ほんとうの自由

 嘘にはなりきれない
 その愚かさを離れられずに
 届かないということの
 疑わしさに
 目を瞑る


誰かの背中が空を負うとき
なにを飛ぶべきだろうか
わたしの鳥は


 誤った言葉が
 とても近くにある

 知らず知らずに親しめば
 いつしか孤独が
 怖くなる

 それほどまでに
 空を知りつつ
 綴りは続く
 まだまだ
 遠く


届かない空に
わすれられた日は
知らない軌跡が
おとずれる

きれいに深まる
はじまりの
ため









自由詩 届かない空に Copyright 千波 一也 2007-09-01 17:25:39
notebook Home 戻る