みちのり
こしごえ

かすかな声でなぞる
あれは面影
うらの林のすきまからみえた
私の亡霊
沈むことのできない舟
いっそうの複音

静かな水面みなもをもっている
自恃じじ矜恃きょうじ
刺青しせいで縁の無い波紋が透きとおる
ああ哀しいかな

底無しの墓標に刻んだ
陽炎は ひっそりと ゆらめく
かつて一度きりの出航
耿耿こうこうとまつ港はすでになく
果てしない水平面をすべる

白に限りなくちかい青みがかった
雲の影にうたれて
黒髪が濡れそぼち
漂流する孤影の声問に
生を望む しじまがみちて
全ての声を聴く耳は、
ほっそりとかたむき続ける

いつも
ゆるぎない
真実の道が、
私を知っていれば、
それでよい。
そして、いく









自由詩 みちのり Copyright こしごえ 2007-09-01 15:34:53
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