過ぎる夏の歌
んなこたーない

朝、青空が落下する。
二階の窓からデモ隊は逃走する。
<Let me be taken, let me put to death――>
倒れこむ、ここは勇敢な大都市。

どんな勝利も、ぼくは認めない。
また、どんな敗北も、ぼくは認めないだろう。
もう会えない若い母。死んだ女たちの笑い声。
躍りあがる肉体がボレロ、ボレロ、ジェシー・ジェームズ風のボレロ。

鳴り出すドラム。スィングできない輪郭線。
テーブルの下で、不器用にもフェラチオがつづいて、
20世紀のように、ぼくは冷笑的に振舞っている。

両手で顔をおおう。目玉の裏側に至るまで、夏は鮮やかに焼きつけた。
鳴り止むドラム。ハンカチを振って、ボレロは終わる。
厳粛な大都市。モダニスムの全否定。巨大なレジェの複製画。


自由詩 過ぎる夏の歌 Copyright んなこたーない 2007-09-01 06:44:49
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