はな 


あなたは
きえそうなひかりのまえで
手をかざしている

胸元から
オイルの切れそうなライターを出して
何度も 鳴らす



うつくしいけしきの
まんなかにいる
いつも
きえていくひかりのまえで
わたしたちは
すこしずつほどいた
かさなっているものを
ただ 握りつづける
知っているだけの 信じ方で



つめたい空は
やわらかいかたちのままのきせつを
そっと
指先に わたしてゆく

とおりすぎる
空席の目立つ 電車の窓
あたたかな
ほのおに似ている



もうすぐ右手から
ちいさなつぼみがぱらぱらとこぼれて
わたしは
目をとじて
きえていくひかりのまえで
約束を する



「点いた」
とつぶやいたあなたの背中が
ふりむくまでに
風がまだ
吹かなければ いい 



自由詩Copyright はな  2007-09-01 01:13:45
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