かたわらに魚のかなしみ
yo-yo

水になろうとするように
魚が魚のかたちで泳いでいる
そんな潮溜まりでは
生きものの群れがまばゆいという


空を仰ぐひとは
吐息ほどの
祈りの水を浮力にかえようとする
浮いては沈む
ひとの群れはかなしい


きのうときょう
きょうとあした
小さな息継ぎをしながら
たどたどと浮力を失ってゆく
ひとの手は
水の深さにも届かなくて


かたわらで
泣くひとの涙は
水の色をしているが
魚のかなしみを知ることもできない
涙も
海の一部だから


ゆうがた
満ちてくる潮に飛び跳ねる
生きものの群れがまばゆいという
ひとの呟きは
ひとの眠りは
かなしい





自由詩 かたわらに魚のかなしみ Copyright yo-yo 2007-08-31 06:25:48
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