水底の死
衿野果歩

幻は所詮幻だと
嘲笑う雨のメロディ
耳に痛いリズム
もうなんにも聞きたくない

あなたの居ない部屋を
満たしていく雨の気配
水圧が増して
なんにも聞こえなくなる手前


性器がこすれ合う度に
生まれる熱を
愛だと勘違いしていた


その熱はとっくに奪われて

肺が潰される


自由詩 水底の死 Copyright 衿野果歩 2007-08-30 12:52:10
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