葉leaf

この瞬間に降っている雨粒を
どこまでも遠くへとつないでいく
知らない街のマンションの屋上で
雨粒は途切れていた
雨が降っていない街の
日差しはとても悪意に満ちて

雨が降っていても
雨粒は限られた空間しか満たさない
雨粒の無い空間のほうが圧倒的に広い
だから雨が降っていても
ほとんど雨は降っていない
それなのにアスファルトは真っ黒に濡れ

雨粒は空中でも破裂する
そのときの音が雨音なのだ
空間の敏感な部分を
侵してしまった罪悪感に耐え切れず
雨粒はみずから破裂するのだ
雨粒の破片は新しい雨粒となって
無限に破裂を繰り返す

雨粒をいくつ集めれば
雨になるのかわからない
とりあえず雨の筋は一種の針であって
地面を刺したときににじみ出る地面の液が
地面を濡らしていくのだということは
わかっている
雨の筋という針が一斉に倒れてきたら
僕に逃げ場はない


自由詩Copyright 葉leaf 2007-08-28 15:53:01
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