あなのそこ
アンテ


じめんのあちこちに
ふかいあながあいていて
うっかりよそみをしていると
おっこちそうになる
ながいいとがそらからいくつもたれさがっていて
やくにたちそうもないものが
えんにちのくじびきみたいに
いくつもぶらさがっていて
じめんのあなばかりみていると
あたまをぶつけて
そのたび
くぁん とからっぽなおとがする
ぶつかったものはいとからはずれて
じめんをころころころがるうち
あなにおちて
ふかいそこでおとをたてる
いとのさきはわっかになっているので
じめんのあなばかりみていると
くびがひっかかって
ちゅうづりになりそうになる
そんなふうにぶらぶらぶらさがって
からだがくさってちぎれおちたあとも
あたまだけがのこって
ほかのものにまぎれているひとは
あんがいたくさんいるのかもしれない
また あたまになにかがぶつかって
くぁぁん とおとがする
いたみはぜんぜんかんじない
ぶつかったものはいとからはずれて
じめんをころころころころころがって
あなにおちて
ふかいふかいそこでおとをたてる
あなはたくさんたくさんあいている
わっかになったいとがいくつもいくつもたれさがっている
くぁぁぁん
またおとがする
いたみはぜんぜんぜんぜんかんじない
ひょっとしたら
ぶつかったひょうしにころがりおちたのは
わたしのあたまなのかもしれない
じめんをころころころころころころころがって
またあなにおちる
てをのばしてもてをのばしてもとどかない
ふかいふかいふかいそこからこえがかえってくる




自由詩 あなのそこ Copyright アンテ 2004-05-28 01:13:03
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