わすれた
大覚アキラ

気がつけば
わたしは
人生を盗まれていた

わたしがしゃべる言葉は
どれも借り物のようで
まるで誰かが
わたしの口を勝手に使って
しゃべっているような気がした

誰に向かってしゃべっていたのかも
何をしゃべっていたのかも
今となっては思い出せない

もしかすると
しゃべっている
と思っていたのさえ
わたしの思い過ごしかもしれない

空は青かった

クルマがものすごい勢いで走っていく
わたしは四車線の道路の真ん中の
中央分離帯に突っ立っていて
空を見上げていた

空は痛いぐらいに青かった

わたしの人生は
いったい誰が
どこへ持っていったんだろう

ただキラキラと輝くものが
空から降り注いでいて
まるで十字架のように見えた

わたしはいったい
誰だったんだろう

わすれた


自由詩 わすれた Copyright 大覚アキラ 2007-08-27 18:13:24
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