小川 葉

木の匂いがするものに
羽がおいしげり
季節を旅した

木目に張られた弦は
春夏秋冬の調べを
思い残すことなく
飛び続けた

西の水平線の
はるか向こう側
目覚めたばかりの朝が
つぎつぎと
交通整理されている

あなたの背中にある
ゼラチンの羽も
少しだけ
木の匂いのする
女になった


自由詩Copyright 小川 葉 2007-08-23 01:11:39
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