空飛ぶ肉男(フライングミートマン)
k o u j i * i k e n a g a

俺はそうやって空を飛ぶ、毎夜。
昨日は肉を喰った。かたい肉だ、ブラボー!
だから俺は肉が好きさ、裏切らない。
肉喰えば俺はまた空飛べる、今夜も。
いつまで肉を喰える体でいられるか分からない、
今、喰える限り喰って空飛ぶ。
それ以外できないし、それ以外したくないの、
俺は、何度も言ったけど、不器用やけん、
喰うことと飛ぶことのほか、なんもしきらん。
肉くさい息を吐いて、飛び回るだけ。
子どもたちが俺を見て喜んでくれる、
それは救いになっている。本当だ。
口先から肉のちぎれをこぼさないように、
俺の噛み潰したくさい肉が子どもたちを
苦しめないように。
この子たちが空を見上げていられるように。
今年も来年も、丈夫な歯を保って生きる。
そしていつか俺が、肉を喰ったり、
空を飛んだりしなくても、
子どもたちが俺のことを見てくれますように。
今日は星がすごいきれいやから、
もうちょっとだけ飛んでいようと思う


自由詩 空飛ぶ肉男(フライングミートマン) Copyright k o u j i * i k e n a g a 2004-05-27 03:21:07縦
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